一般社団法人オープンデジタライズ(本社:東京都千代田区、代表理事:瀬口聖也、以下「当法人」)は、令和6年5月17日(金)に都城森林組合(本社:宮崎県都城市、前代表理事組合長:柳田 力男、現代表理事組合長:志々目 道夫、以下「都城森林組合」)と植林簡易化事業について共同開発協定を締結いたしました。
■背景
木材業界に従事する人口減少の中、県の再造林や木材業界の実績を継続するためには、デジタルの普及による作業の効率化が重要であり、デジタルツールの導入を推進することは有効かつ不可欠であると思われます。その一つとして、植林作業があります。
現在の植林作業は、一定のノウハウを必要とします。例えば、事前に等高線に沿って基準となる線に目印をつけたり、そのために地形を把握するために調査したりと、植林をするための段取りが必要です。さらに実際の植林作業は、木同士の間隔となる2メートルの長さの尺棒をもって、植林地点を確定していきます。また実際に、その土地に何本の苗木が必要かは、面積から算出した概略数しか分かりません。苗木の過不足があれば、その運搬に二度手間が発生します。
■アプリの効果
本アプリでは、これらの植林時における課題をクリアするために、「植林点の自動生成機能」を実装しています。これは、土地の地形や面積、等高線の状況に応じて、苗を植え付けるポイントが2mの半径を維持するように自動計算され、地図上に表示されます。これらの全ての点は緯度経度の情報を保存しており、植林した場所が雪に埋もれたり、雑草が茂ったとしても、数センチの精度で位置を特定できます。また苗木の使用本数も算出されるため、運搬すべき本数が予想でき、無駄な運搬作業の発生を防ぎます。さらに、事前の段取りが不要となるため、たとえ誰であっても、または少人数でも同じ作業が実施できるため、生産性が向上します。隙間時間やアルバイト感覚でも、植林作業が実施できれば再造林が進み、未植林問題の解決につながります。
■実証試験
令和6年2月27日、当システムを用いた植林点の有用性について、都城市山田町現場にて、実証試験を行いました。参加者は、当法人の開発チーム、都城森林組合様、その他森林組合様から一部が参加しました。内容は、現行の植林方法との作業比較、またシステム単体での使用試験を実施しました。植林点が自動生成され、またその位置情報が正確に表示され、下刈りのため位置が保存されるなどの機能が、支障なく実現した点については画期的であり大きな成功となりました。一方で一部植林点の自動計算式については改善点が見られ、持ち帰るべき課題も発見されたことは大きな収穫となりました。
令和6年5月17日、都城森林組合事務所にて共同開発に係る協定を締結し、県の再造林事業を前進させるべく、技術開発に取り組んでいます。
(上)山林内での従来の植林方法との比較実証試験の様子
(下)境界杭に対する位置情報試験では、杭の直上に表示する精度が確認されました。
(境界杭の直上にGNSS機器を位置させることで、自分の場所を特定します)